フォトエッセイ『The Feelings』をご紹介します！

つい先日、都内で開かれたあるパーティに出かけた。ストリートアート系では「お洒落」なのであろうゲストたちで賑わう会場で、しっかり海に入っている系のひとりの女性サーファーを紹介された。
タチ マリエというその女性、デザイナーを生業としながら平砂浦を拠点に波乗りにどっぷり浸かった毎日を送っているらしい。サーフィンを始めて5年。まだ初々しさが眩しい若者。その時はそんな印象で名刺交換だけさせて頂いた。
　後日、彼女から一冊の書籍が送られてきた。タイトルは『The Feelings』。おそらく彼女自身が仲間と撮り貯めたであろう写真と、思いのたけを綴った文章で構成されたフォトエッセイ。
　ページをめくっていると、今までにない不思議なインパクトを感じた。写真も文章も初々しくどこか拙いのに、すべてのページにサーフィンへの深い愛情がほとばしっているのだ。
　聞けば、サーフィンと出会って3年目。サーファーという人種が周囲にはまったく理解されていないことに気づいた彼女は、自分が魅了されているその特別な感覚をなんとか伝えたいと、この本を出版しようと思い立ったのだそうだ。オレなんかオッサンは、もう誰にも理解されなくてOKだけどね(笑)
　サーフ体験5年目のまだうら若いそんなサーファーが、すべてをホームグロウンで編んだ一冊のフォトエッセイ。これは僕らロートルが慣れ親しみすぎて忘れ去ってしまったあの清々しい感覚を甦らせてくれる、そんな一冊だ。ページをめくる度にほとばしっていたのは彼女の静かな情熱。それに気づいた今日この頃、昔日のあの頃についつい思いをはせてしまう自分がいた。

TSJJ編集長　井澤聡朗

タチ　マリエ　プロフィール